椎間板ヘルニア手術を決断された飼い主様の心情

椎間板ヘルニア手術を決断された飼い主様の心情

2017.05.19 ブログ

こんにちは。獣医師の池田です。

今回は手術を決断された飼い主様とのエピソードをお話したいと思います。

ここ12年くらいでしょうか、

ミニチュアダックスフンドを家族として飼われている飼い主様が多いこともあって、

この犬種に多く見られる疾患、椎間板ヘルニアの手術を執刀することも多いと感じます。

 

昔から私が担当で診させて頂いていたある飼い主様のダックスさんが、

先日椎間板ヘルニアを発症してしまいました。

テーブルの下に入り込んだ時に「キャン」と鳴きその後から後肢が麻痺してしまった、とのことで飼い主様は非常にショックを受けているご様子でした。

すぐに血液検査など状態の把握を行い内科治療も施した上で、翌日外部検査機関でMRI検査を受けて頂きました。

結果はやはり、1ヶ所はっきり分かるほど重度の神経圧迫が見られる椎間板ヘルニアとの診断。

 

検査結果をもとに手術に踏み切るかどうかの判断をしなければならないのですが、

その子は12歳と高齢期に入っており、さらに体重もかなり大きい子でしたので、

手術に関して多少なりともリスクがあると予想されました。

椎間板ヘルニアの検査所見だけを見れば手術すべき状況なのですが、

年齢などの様々なリスクから総合的に考えた場合、私としては踏み切れずに悩むところもあったのです。

この飼い主様は長くお付き合いのある方でしたので、

「もしかしたらこの子に手術という痛い思いをさせたくない、と考えられるのではないだろうか」

などと想像したりもしました。

そんなことも考えつつ、飼い主様にメリット、デメリット、合併症など情報をできるだけお伝えし、どう決断されるかを尋ねました。すると、

「先生、手術してください。この仔に手術をしないでこのまま辛い思いをさせたくはないのです。」

とおっしゃられました。

私が後押ししなくてはならない立場なのに、飼い主様の気持ちに押される形となってしまいましたが、

その飼い主様の言葉を聞き、すぐに決断しました。

「では、手術しましょう。できるだけ早い手術の方が良いですから、今晩行います。」

それからはスタッフ総出で手術の準備を行い、問題なく速やかに終了。

術後は順調に良くなり、術後10日目にはほぼ麻痺が残らないくらいに歩行できるようになっていました。

手術の決断について後から飼い主様に聞いてみると、

「やっぱり、先生に手術してもらいたかったから決めたんです。本当に手術して良かった。」

とおっしゃられたのです。

私だったから決めた、という気持ちが後からわかった時、こういう時が一番胸を打たれます。

我が仔の代わりに手術の決断をしなくてはならない飼い主様は、色々不安な思いを巡らすと思います。

その時の飼い主様の不安に寄り添い、安心感を与えられることが本当に必要なのだと改めて感じました。

 

追記。最近は年のせいかすぐに感動して泣きそうになってしまうのですが、こらえました。